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竜を継ぐ者~黄の刻印の章~(世界はエッチと愛で救われる)
第17章 委員長は男心がわからな過ぎる
「わかったよ、もう……委員長も、意外と強情だなぁ」

 と言うと、彩夏は気づいたようにハッとした。

「その委員長っていうの、そろそろ止めてくれない?」

 彩夏は真面目な顔で、そう言った。

「何を言うのかと思えば、そんな事かよ……」
「そんな事とは何よ!あまり好きじゃないのよ、そのあだ名……」

 少しテレながら、ボソリと言う彩夏。

「へ~……初耳だな。だって皆そう呼んでるじゃない」
「だって……委員長辞めても、そのあだ名なのよ!?卒業しても同窓会で、そう呼ばれるんだもの……堪らないわよ!学校外でも、そう呼ばれるのは……ちょっと恥ずかしいのよ!」

 なかなかの激情を露に熱弁する彩夏が、思いっきり意外だった。
 か……可愛いな、真吾はこっそりと苦笑した。
 制服姿だと余計に、委員長然としている彼女では「ああ見るからにそんな感じ」とか「安易なネーミング」とか、通行人Aにも当然のように認識されそうだし、確かに街中で呼ばれると少し恥ずかしいか。
 思い出してみると、彩夏と仲の良いクラスメイトは、彼女を名前で呼んでいたような気がする。

「じゃあ……渡辺さんって呼べばいい?それとも彩夏?」
「何でいきなりフレンドリーに名前なのよ。周りに変に思われるじゃない!」
「テレてんの?顔が真っ赤だけど――」
「う――煩いわね!」

 赤面を指摘すると、彩夏は怒って横を向いてしまった。
 時計を見ると、そこはかとなく良い時間になっていた。
 真吾としては、切り上げたいのが正直なところ。あまり長い時間、密室に二人きりというのは率直に言えば、しんどいのだ。

「で、渡辺さんの用事は終わったよね?」

 そう切り出すと、彩夏はドキッとしたような顔をした。
 その表情に何か恥らうものを感じて、真吾は動揺する。

「な……何?まだ何かあるの?」
「吹聴するような人だとは、思ってないけどさ……あの日の事、秘密にしておいてよ?」

 遠慮がちに頷く彩夏から、何か直視したらマズいものを感じて、真吾は思わず目を逸らした。

「と――当然だろ!?見損なうなよな……」
「うん……あの、それでね……」

 また何か言い辛そうに口ごもる彩夏に、流石に真吾も少しイラついてきた。

「何なんだよ、まだ何かあるのか!?」
「ご……ごめん。怒ってるの?」
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