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竜を継ぐ者~黄の刻印の章~(世界はエッチと愛で救われる)
第20章 彼女の前髪が長い理由
「――ご……ごご、ごめんなさい!」
うっかり真吾の肩に頭がもたれ、泡をくったように謝る美奈。跳ねるように急いで起きる姿は、何と言うかちょっと滑稽で愛らしくすらある。
頭を首に座らせて置くのも、そろそろ困難そうに見えた。
大丈夫なんだろうか……隣りの美奈を気にかけると、あまり平気には見えない。重そうに項垂れる頭を、フラフラと揺らしていた。
見てられないな……。
美奈の頭に手を添えると、真吾は首の上に戻ろうとする頭を自分の肩にボスッと押しつけた。
「た……滝川くん!?あ、あああ、あの……っ」
美奈の顔が茹蛸のように真っ赤に染まる。
真吾もメチャメチャ恥ずかしい――が、場合が場合だ。
「まだ下車駅まで15分はあるんだろ?無理しないで、そうしてたら?」
流石にテレが凄まじく、美奈の顔が直視できない。
なるべく平静は装っているが心臓はドキドキと煩いし、緊張はどうしたってしてしまう……彩夏に慣れただけであり、女の子に対して慣れた訳ではないのだ。
少し前ならこんなリア充爆発しろみたいな事は、無かったよなぁ……自分に起こる事も有り得なかったし、自分からやる度胸も勿論なかった。
堕児に関わってから、その辺りが加速度的に変わったと思う。
それが良い事なのかどうか悩むところではあったが、取り合えず今は役得なのだと思おうと真吾は自分を納得させた。
「あの――誤解されたりとか……滝川くん困るんじゃ……」
「っぷ、誰に?」
そんな心配をされる事があまりに意外で、真吾は噴き出してしまった。
「えっ……どうして笑うの?」
「いや、変な事を気にするんだなって……僕に彼女がいるでもないのに」
そう言うと、美奈は困ったように俯いた。
何だか彼女の頭上に、飛んでいく汗の幻が見えたような気がした。
「だって……あの……私なんて嫌じゃ……って……」
「別に嫌じゃないよ。それに――」
どうやら美奈も我が家の姫君のように、先に相手を気遣うような子らしい。
誤解を気にするなら、女の子の美奈の方なのに。
「どっちかって言うとそれ、僕の台詞だ」
「――そんな事ない……誤解されて困る相手もいないし……」
「なら良いけど。変な事に気を回さなくて良いよ――嫌でないならね」
「……うん」
うっかり真吾の肩に頭がもたれ、泡をくったように謝る美奈。跳ねるように急いで起きる姿は、何と言うかちょっと滑稽で愛らしくすらある。
頭を首に座らせて置くのも、そろそろ困難そうに見えた。
大丈夫なんだろうか……隣りの美奈を気にかけると、あまり平気には見えない。重そうに項垂れる頭を、フラフラと揺らしていた。
見てられないな……。
美奈の頭に手を添えると、真吾は首の上に戻ろうとする頭を自分の肩にボスッと押しつけた。
「た……滝川くん!?あ、あああ、あの……っ」
美奈の顔が茹蛸のように真っ赤に染まる。
真吾もメチャメチャ恥ずかしい――が、場合が場合だ。
「まだ下車駅まで15分はあるんだろ?無理しないで、そうしてたら?」
流石にテレが凄まじく、美奈の顔が直視できない。
なるべく平静は装っているが心臓はドキドキと煩いし、緊張はどうしたってしてしまう……彩夏に慣れただけであり、女の子に対して慣れた訳ではないのだ。
少し前ならこんなリア充爆発しろみたいな事は、無かったよなぁ……自分に起こる事も有り得なかったし、自分からやる度胸も勿論なかった。
堕児に関わってから、その辺りが加速度的に変わったと思う。
それが良い事なのかどうか悩むところではあったが、取り合えず今は役得なのだと思おうと真吾は自分を納得させた。
「あの――誤解されたりとか……滝川くん困るんじゃ……」
「っぷ、誰に?」
そんな心配をされる事があまりに意外で、真吾は噴き出してしまった。
「えっ……どうして笑うの?」
「いや、変な事を気にするんだなって……僕に彼女がいるでもないのに」
そう言うと、美奈は困ったように俯いた。
何だか彼女の頭上に、飛んでいく汗の幻が見えたような気がした。
「だって……あの……私なんて嫌じゃ……って……」
「別に嫌じゃないよ。それに――」
どうやら美奈も我が家の姫君のように、先に相手を気遣うような子らしい。
誤解を気にするなら、女の子の美奈の方なのに。
「どっちかって言うとそれ、僕の台詞だ」
「――そんな事ない……誤解されて困る相手もいないし……」
「なら良いけど。変な事に気を回さなくて良いよ――嫌でないならね」
「……うん」