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身代わりの夜
第8章 待ちぼうけ役員秘書
「ああっ、梨華さんっ!」

 ベッドに押し倒された。
 ブラをむしり取られ、乳房を揉みくちゃにされる。

 一度火がつくと、啓太の愛し方は情熱的で激しい。
 ナースキャップを外す暇もなく、翻弄され続けた。

 初めての夜から、日に日にたくましく成長していた。

 夢中で求めあった夜を、頬を染めて思い出していると、メールの着信音が鳴った。
 啓太からだった。

 ――急用ができました。
 ――今日の約束はキャンセルしてください。ごめんなさい。

 そっけない文章を梨華はしばらく眺めていた。

 胸が切なく疼く。
 怒りよりも哀しみが強かった。

(性欲を満足させるだけのセフレだからね)

 あらためて自らに言い聞かせる。
 けれど、啓太に傾いていく自分の気持ちを抑えることが出来なかった。


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