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身代わりの夜
第10章 純情エッチ代行人
「いやだったら……もう、恥ずかしいからやめて」

 腰をくねらせ、啓太の髪を掴んで押しのけようとする。

 それでも、鼻腔粘膜を刺激する美人課長の股間臭に魅せられて、やめられなかった。

 センターシームをなぞって顔を動かし、何度も鼻を鳴らした。
 ブラウンのナイロン地と黒いレースショーツの触感が、さらなる淫情を煽る。

「はああっ……やだ……あっ、ああっ……ど、どうしよう」

 亜沙子のハイヒールが床の上で音をたてた。

 嫌がって左右に振られていた腰が、いつしか前後に動いていた。
 チーズ臭がどんどん濃くなってくる。
 鼻先にねっとりした湿り気を感じた瞬間、頭に血が昇った。

「すけべな匂いさせて、アソコ濡らしてるんだ」

 つい正直な声が洩れた。
 亜沙子の身体がぎくっと慄く。

「……山野辺くん?
 ね、山野辺くんよね」

 亜沙子が不安そうに尋ねてくる。
 しまったと口を結ぶが、後の祭りだった。

「ふふふ、知らない男にされてるみたいで、ス、スリル満点でしょう」

 低くかすれさせた声で、不気味に笑ってみる。
 声が裏返らないようにするのが精一杯だった。
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