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身代わりの夜
第2章 泥酔美人上司
「前祝いに飲み直そうか」

 接待の後、亜沙子はめずらしく部下ふたりを夜の街に誘った。

 最初のうちはプロジェクトの見通しと抱負を熱く語っていた亜沙子だが、今日の成功をはしゃぐ山野辺に煽られて次々と杯を重ねていくうちに、次第に乱れてきた。

「それにしてもマナベの権堂部長、ひどかったすね」

「仕事とはいえ、あんなスケベ親爺にも愛想を振りまかなきゃならない。嫌になっちゃう」

 接待の席で露骨なセクハラを仕掛けてきたエステ部門責任者を思い出したのか、端整な美貌に怒りをあらわにした。

 啓太たちの目があるにもかかわらず、隣りに座った亜沙子の肩を抱き、太腿や腰に触ろうとする。

 さらに私生活のこと、それも好きな男がいるのかとか、独り身で夜は寂しくないのかとか、薄ら笑いを浮かべて性的な話題を聞いてくる。
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