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身代わりの夜
第13章 出張夜の部下指導
 今、胸に渦巻いているのは、好きだとか惚れているとかいった感情とは違う。
 第一、相手の意向を無視してエッチの相手をするという点で、すでに恋慕と呼べるようなものではなくなっている。

 かといって、単純に性欲を充たす対象というわけでもない。

 じゃあ何だと問われても、答えようがなかった。
 自分でもよくわからない。

 モテない男の妬みかもしれないし、懸命に働いても評価されないひがみのような気もする。
 尊敬していた上司への憤りも、ないわけではない。

 さまざまな感情が渦巻いて、整理がつかなかった。

 黙ってしまった啓太に、山野辺は首を振って、

「まあいい。わかったよ。ここは古森に譲るよ。
 だけど、お前が急に現れたら、課長は驚くだけだぜ。
 この前も言ったけど、彼女に恥をかかせることになる」

 ポケットに忍ばせたものを取り出した。

「ほら、これを貸してやるよ」

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