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身代わりの夜
第14章 熱愛目出し帽
 太い腕が背中に回された。
 力いっぱい抱き合って、腰を振り合う。

 肌と肌が密着した。
 どちらの肌も汗にぬめっていた。

 男の肩に顔を埋めると、汗の匂いに混じって、頭がくらくらするようなオスの香りが感じられた。
 亜沙子自身、ツンと鼻奥を刺すチーズ臭い性臭を漂わせている。
 ふたりの匂いが混じり合うのがうれしくて、なおさら尻を捏ねまわした。

「あ、亜沙子さんんっ……うおおおっ」

 フェイスマスクをかぶった顔が、亜沙子の首筋に押しつけられた。
 ニット生地ごと、首から顎にかけてを撫でまわされる。
 マスクの下で口が開いて、唇がデコルテを這う感触があった。そ
 れだけで、背筋がぞくっと震える。

 一度、オルガスムスに達したせいで、性感がさらに上がっていた。
 どこを触られても反応してしまう。
 身体中が性器になったみたいだ。
 気がつくと、次のアクメが眼の前だった。

「ああっ、また、イッちゃうっ……
 あああっ、イクううううっ……はああああっ」

「うううっ、締まるううっ」

 二度目の絶頂に全身を震わせた。
 痙攣がとまらない。

 男の首っ玉にしがみついた。
 身体中の肉が、びくびくと震えつづける。

 快感のあまり、とうとう神経のどこかが壊れてしまったのかもしれないと、恐怖すら感じた。
 オルガスムスの激しさに、魂が抜け出そうだった。
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