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身代わりの夜
第1章 憧れ美人上司
 作成した資料がつたないものだという自覚があるだけに、黙って聞くしかない。
 言い訳でもしようものなら、もっと激しい言葉が襲いかかってくることは、これまでの経験で学んでいた。

 化粧の匂いなのか亜沙子の体臭なのか、空調の柔らかな風にのって、ジャスミンのような優雅でなまめかしい芳香が漂ってくる。
 嗅いでいると、場所がらもわきまえず妖しい気分になりそうだった。

「いいこと。次の会議に〈シャンジュモン〉の帰趨がかかってるの。もっとしっかりしてくれなきゃ」

 はい、と口の中で小さくつぶやき、うつむき加減にそっと課長をうかがう。

 シンプルなラウンドネックからのぞく艶やかな胸元と、ほっそりとした首筋。
 鎖骨の窪みで小粒なスキンジュエリーがきらめいている。

 亜沙子が手に持った資料を強く振ると、白いブラウス生地の下で、双つのふくらみが妖艶に揺れた。
 そんなに大きくはないが、体型がスリムなのでよく目立った。嫌でも、そこに眼がいってしまう。

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