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身代わりの夜
第17章 強引純情部下
 穏やかだった青年の中に、こんな激情が潜んでいたなんて。

 心臓がどくんどくんと早鐘を打つ。
 胸に迫るのは恐怖だけではなかった。
 こんな場合だというのに、なぜか心を揺さぶられた。

「山野辺ならよくて、ぼくだとだめですか」

「え?」

 亜沙子は動きをとめた。
 言葉の意味をすぐに理解できず、相手の表情を探る。

「貴野課長はここで山野辺とエッチしたんでしょう」

 冷酷に告げられて、昂っていた心臓が瞬時に凍りついた。

(どうして古森くんが知ってるの!?)

 頭の中が真っ白になる。

 その隙を啓太は見逃さなかった。
 ハイヒールと一緒に、パンストとショーツを脱がされた。

「や、やめなさいっ。
 上司の命令がきけないの……ああ、いやあっ」

 必死に抵抗しようとした。
 けれど、布が裂ける音に、つい力をゆるめてしまう。

 はだけたブラウスとブラジャーも奪われ、亜沙子は両手で胸を抱いて床に丸まった。

「これで課長はどこにも行けませんよね」

 裸身を見下ろす啓太の瞳は、昂奮にぎらつきながらも、どこかうるんで見えた。

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