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身代わりの夜
第19章 最愛美人上司
「あああ、どうしよう……どうしよう……」

 亜沙子は床にうずくまり、両手で顔を覆って泣きじゃくる。

 裸の背中が小刻みに震えるのとは別に、ときどき下半身が、ひくん、ひくん、と不規則に痙攣していた。
 まだ絶頂の余韻から抜け出していないようだった。

「わたし、イッちゃった……
 知らない人に見られて、お、おしっこ洩らしながら、イッちゃったあああっ」

 小さく背を丸めて嗚咽する。
 その姿のどこにも、やり手のキャリアウーマンの誇らしさや輝きはなかった。

 あの距離では照明の陰になった顔の判別は不可能だとは思うが、そんなことは慰めにもならない。
 絶頂で失禁までした姿を人目にさらしてしまった事実が、なによりもショックなのだ。

「う、うううっ……やだ……もう、やだ……ひうう」

 ブラインドは降ろしたものの、ぺったりと降ろした尻の周囲には小水の水たまりができている。
 カーペットは黒ずみ、亜沙子の腰や足も、尿にまみれていた。

「貴野課長……あの、あの、すいません……そ、掃除します」

「触らないでっ」

 肩に触れようとした啓太の手が、邪険に振り払われた。

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