この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
身代わりの夜
第5章 同僚の恋人と
(くそ……なんであいつばっかり)
啓太はウィスキーのグラスを一気にあおった。
アルコールの強さが喉に焼けつくようだった。
一人で酒場に来るなんて、めったにない。
しかし今日は飲まなくてはやりきれなかった。
古い雑居ビルの地階にある、さびれたバー。
騒がしい居酒屋だと、よけい落ち込みそうで、大学の友人と何度か来たことのあるこの店を選んだ。
バーテンダーも無口で、カウンターの隅で物思いにふけるにはちょうどよかった。
今朝の、山野辺に向けられた亜沙子の美貌が脳裏に浮かぶ。
いつもはきびしい課長の表情が、優しく包み込むような笑顔になっていた。
今回のプロジェクトの鍵を握る仕事を、啓太の同期に託したのだ。
山野辺が客先に受けがいいことは知っている。
だから、重要な仕事を任せること自体は納得できた。
納得できないのは、それが昨日の今日だということだ。
――おまえ、課長を送っていって、なにかしたのか?
山野辺のにやにや笑いが、眼に焼き付いている。
啓太はウィスキーのグラスを一気にあおった。
アルコールの強さが喉に焼けつくようだった。
一人で酒場に来るなんて、めったにない。
しかし今日は飲まなくてはやりきれなかった。
古い雑居ビルの地階にある、さびれたバー。
騒がしい居酒屋だと、よけい落ち込みそうで、大学の友人と何度か来たことのあるこの店を選んだ。
バーテンダーも無口で、カウンターの隅で物思いにふけるにはちょうどよかった。
今朝の、山野辺に向けられた亜沙子の美貌が脳裏に浮かぶ。
いつもはきびしい課長の表情が、優しく包み込むような笑顔になっていた。
今回のプロジェクトの鍵を握る仕事を、啓太の同期に託したのだ。
山野辺が客先に受けがいいことは知っている。
だから、重要な仕事を任せること自体は納得できた。
納得できないのは、それが昨日の今日だということだ。
――おまえ、課長を送っていって、なにかしたのか?
山野辺のにやにや笑いが、眼に焼き付いている。