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女社長 飯谷菜緒子
第9章 無敵の弁護士
ミツバに株を奪われるという危機を乗り越えてからは飯谷工業も居間側重工も順調満帆であった。

菜緒子は夫真次には気づかれないように信彦とも程よい距離の恋人を楽しんでいた。

信彦は自分に種がないのに子供がいることから妻と子供と疎遠であったが、菜緒子の言葉で考え直して関係は修復した。

また信彦には愛人も多数いるから歳を取ってもお盛んである。

その愛人の中でも菜緒子は格別のようであり、妻や愛人と楽しんだことを菜緒子が少しでも膨れた態度を見せればすぐにデートの誘いがきて高価なプレゼント、高価な食事、そして激しく熱いセックスである。

また志乃とも女同士の関係を続けていた。

夫真次には悪いかなとも思ったが、真次は真次で子供を作る時はあんなに頑張ったのにやはり女は苦手なようで男恋人と散々に楽しんでいるようだからまあいいかと思っていた。

その一方て菜緒子は密かに翔也や透真の行方も探ってはいたのだが、こちらは全然見つからない状況にあった。
彼等を探す時間、資金、権限を手に入れるために政略結婚を受け入れるまでしたのに、依然として見つからない状況、セックスこそはないものの真次を愛している自分、志乃との愛、信彦の寵愛といった満たされた日々にいつしか翔也や透真を探すことはどうでもよくなりつつあった。

そんな自分を戒めて翔也や透真を探すことは続けていた。

会社のことは順調であり、娘の光莉の成長を見守るのも楽しみであり、不幸だけど幸せな、満たされないけど満たされた日々が過ぎていった。

そんな中突如として厄介な事件が起こった。

居間側重工が飯谷工業を下請けにして開発した機械のAIは高性能で評判が高く、機械界、工業界を騒がせるものとなった。

業界トップクラスのミツバもこのAIを絶賛して、社長の三葉信彦の勧めもあってこのAIは居間側、飯谷の名前で特許を取得するに至った。

ミツバ程の会社であれば買い取ってミツバの名前で特許を取得することもできたが、居間側、飯谷の名前で特許を取得するように後押ししたのは三葉信彦と飯谷菜緒子の関係によるところが大きいのだが、当然ながらそれは誰も知らない。

ところが、特許を取得して間もなくコンドーという同業の会社が当該AIは自社が開発していたものであり、居間側に開発データを盗まれたと主張してきたのだ。

無論データを盗んだ事実などない。
言いがかりだ。
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