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牝獣の哭く夜
第10章 砕け散る矜持
 指先で淡い褐色の肉ヒダを撫でながら、

「さっきはここを引っ張って悪かったね。
 安心したまえ。もうヒダヒダも元通り、可愛らしく戻ってるよ。だけど、この臭いは……」

「ひっ!」

 羞恥の肉裂に鼻先を突っ込まれた。

 鼻の頭で湿った肉溝をなぞられ、美貴は美貌を歪ませた。
 くんくんと股間の臭いを嗅がれているのがわかる。

 覚悟はしていても、恥ずかしさは耐え難い。

「ああ、そんなとこ、嗅がないでっ」

 と、悲痛な声を出してしまう。

「股ぐらにスケベな匂いをぷんぷんさせて、すごいねえ。
 くうぅ、この匂いは昂奮するよ。
 きみのお澄まし顔は昼間だけの仮面だったんだねえ。
 お味はどんなかな?」

 舌先がぬっちょり、肉の亀裂に侵入した。

「ああン……」

 白い歯をのぞかせて、唇を血が出るほど噛みしめる。

 心ならずも滲ませてしまった花蜜を、肉ヒダをなぞって舐めとっているのだ。

(ああ、やめて……もう、やめて……)

 胸裡で悲鳴をあげる。

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