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牝獣の哭く夜
第10章 砕け散る矜持
 男が離れる感覚で、美貴はそれまで閉じていた瞳をゆるやかに開けた。

(やっと終わった……)

 ほっとしかけた美貴の視界に、黒々とした男の短躯が映った。

(な、なに?)

 靄《もや》のかかった頭が、判断を停止する。
 耐え難い体臭が襲いかかってきた。

「いやあああああッ!」

 叫んだ時にはもう、挿入されていた。
 片桐の精液が残る膣孔に、何かどす黒いモノがもぐりこんできた。

 沼田だった。

 沼田の醜い陰茎に蜜壺を犯されていた。

「ひいいいっ! 抜いてっ! 抜いてえええっ!」

 沼田と肉のつながりを持っていると悟った瞬間、訳のわからない衝撃に襲われる。

 脳の中で、嫌悪と快感が入り混じったすさまじい火花が散った。

「はわわわッ!」

 意味不明の叫びを上げて、美貴は狂乱した。
 沼田も何か叫んだようだ。

 肉膣の奥に怨念の毒液を浴びせられ、制御不能の愉悦が駆け上がる。

 受け切れぬほどの性悦に、ビクンッ、ビクンッ、と四肢が何度も痙攣した。



 沼田と美貴は、つながった瞬間、ともに果てていたのだった。

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