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牝獣の哭く夜
第14章 愛しい屹立
 もう一度、諏訪と眼を合わせる。

 諏訪は息が荒いものの、優しい眼で美貴を見下ろしていた。
 そして、ゆるやかに首を縦に振ってくれた。

 それだけで、救われた思いだった。

(わたしのために……ごめんなさい……ゆるして)

 ゴクッと唾を呑み込む。

 後ろ手に括られた美しい裸身を正座をするように屈め、諏訪の脚の間に首を伸ばしていった。
 シャープな顎を傾けて、巨大なプラムのような亀頭部に尖らせた紅唇を近づける。
 鼻孔に不思議な匂いが漂ってきた。

 嗅いだ瞬間はムッと鼻を刺すような感じだったが、不快感はない。
 濃厚で官能的な匂いだ。
 嗅いでいるうちに脳を甘く蕩かすような、熟成された刺激臭だった。

(これが龍彦さんの、アソコの匂い……)

 馥郁と立ち昇る香りにうっとりとなる。
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