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牝獣の哭く夜
第15章 もうひとつの未来
 諏訪がこちらを向く。

 美貴は涙で潤んだ眼で、男の視線を受け止めた。
 逸らせそうになるのを、懸命にこらえる。
 互いの瞳の中に何かを探るように、視線を絡め合った。

「ゆ、許して……」

 熱い涙が逞しい胸に滴《したた》り落ちた。
 涙はあとからあとから溢れ出る。

 ――こんなことさえなければ、二人には別の未来があったのかもしれない。

(……でも、もうお終い)

 強制されたとはいえ、こんな卑猥なことまでやってしまっては、女として、人として、もうどんな尊厳も体面もあるはずがなかった。

 心がこんなにも切なく悲痛なのに、肉体はなお、賤しい粘膜のこすり合いを求めていた。
 尻がうねうねと蠢いてしまう。

 己の淫らさに打ちのめされながら、怒張を挟んだ股を前に移動していった。
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