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牝獣の哭く夜
第16章 あかされた奸計
「こんな顔をしているくせに、こいつは映画や本が好きでね。
 ずいぶんと教えてもらった。

 アメリカに行ってつき合いが途絶えていたけど、今度のコンペでひさしぶりに出会って、久闊を叙したわけさ。
 しかも、眼をつけていた沢村美貴の部下だというじゃないか。
 これはお誂え向きだと、おまえを襲う計画を持ちかけたんだ」

「諏訪のおかげで課長に対する長年の夢がかなったんだ。
 俺にとっては悪い話じゃかなった。
 片桐の野郎はちょっと邪魔だったけど」

「そう言うな。片桐にも少しはいい思いをさせてやらんと、後でひがむからな。
 今回の設計から外すのにゴネそうだったから、まあ口止め料だ」

 自分をまるで品物のように扱う諏訪の言葉に、美貴は歯噛みをした。

 が、諏訪がそのスタイルで歩き始めると、たちまち、男の肩に顔を埋めて咽び泣いてしまう。

「あっ、あうっ、いやあっ……あんっ」

 一歩進むたびに、ズンッズンッと秘奥に肉杭が打ち込まれる。
 甘美な振動が脳天を直撃する。
 尻肉がうねり、つま先をピンと伸ばした黒ストッキングの下肢が揺れた。

「やだっ……あン、ああンッ……ひくっ……」

 諏訪は優美な裸身を軽々と抱えて部屋を横切る。
 沼田が開けたドアを過ぎると、そこはベッドルームだった。

 照度を落とした部屋の灯りに、キングサイズのダブルベッドが禍々しく浮かび上がった。

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