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牝獣の哭く夜
第19章 白百合の臓腑
 美貴はくっきりした二重の眼を薄く開け、長い睫毛の陰から、ぞくっとするような視線を諏訪に送った。

 甘い吐息と共に囁く。

「お願い……二人だけでなら、なんでも言うことを聞きます。
 だから、あの男を追い出して……美貴を龍彦さんのものにして……」

 諏訪の手は、下腹部の秘めやかな草叢に達した。
 乱れた毛並みを整えるように梳いたり、生え具合を確かめるように撫でたりして、

「ふふん。なんでもってことは、アナルも捧げるというわけか」

 美貴は恥ずかしそうに、諏訪の胸に顔を埋めた。

「……お尻は嫌なの……普通にして……」

「駄目だと言ったら?」

「ああっ……」

 酔芙蓉が色を変えるように、白い頬が鮮やかな紅色に染まっていく。

「アナルもいいんだな」

 美貴は視線を彷徨わせ、唇を震わせる。

(お願いだ――きっぱり嫌だと言ってくれ)

 沼田は祈った。

 一方で、泣きじゃくって後門を犯される上司の姿を思い描き、怒張に下劣な血をたぎらせる。
 アンビバレンツな思いに、沼田の心は千々に乱れた。

 羞じらいつつも美貴が小さく頷くのを、沼田は失意のうちに認めた。
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