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牝獣の哭く夜
第2章 祝賀会の夜
しかし、かりに諏訪部長が自分に気があるとしても、美貴としてはそれを素直に受けることはできなかった。
いまここで諏訪とつき合うと、いらぬ疑いを掛けられかねない。
能力だけでソレムニティの企画を勝ち取ったつもりだった。
そのために人の二倍三倍働いてきたのだ。
色気で仕事をとったと思われるのは、美貴には耐えがたいことだった。
足取りが重くなる。
頭が朦朧としてきた。
膝が抜けそうになり、歩くのがつらい。
(どうしたんだろう?)
そこまで飲んだはずはない。
眩暈を覚え、周囲の風景がぼやけだす。
美貴はその場に崩れ落ちそうになるのを必死でこらえて、なんとか歩き続けようとした。
その時、後ろから腕を支えられた。
「大丈夫ですか?」
声に覚えがあったが、気にする余裕はなかった。
美貴は意識を失っていった。