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牝獣の哭く夜
第2章 祝賀会の夜
考えてみれば、もうずいぶんと異性とつき合っていない。
男嫌いというわけではなかった。
学生のころには人並みに恋人もいたし、職についてからも何人かの男性と愛を交わしたことはある。
しかし、三十を過ぎてからは仕事一筋だった。
それだけこの仕事にやりがいを感じていたのだ。
責任ある部署をまかせられ、無我夢中で働いて、気がついたらもう三十三歳である。
たしかにスリムな長身と端整で知的な美貌は、男たちにもてはやされる。
ことさら若やいだファッションをしなくとも、二十代後半に見られることは承知していた。
それでも三十三歳という年齢は、そろそろパートナーの存在を意識する時期になっているのかもしれない。
マンションに帰っても誰も待っていてくれない週末が、急に寂しく思えた。