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牝獣の哭く夜
第3章 拘束ホテル
深い海の底から浮上するように、朦朧とした意識が次第に戻り始めていた。
しばらく眠っていたようだった。
身体はアルコールの酔いをはっきりと残している。
みぞおちのあたりに、巨大な消しゴムでも詰め込まれたみたいな不快感があった。
(……どうしたんだろう)
眼を閉じたまま、沢村美貴は記憶をたどった。
課のみんなと飲んだあと、駅に向かって歩いていたはずだ。
アルコールには強いほうで、泥酔の経験などない。
今日も記憶をなくすほど飲んだつもりはなかった。
ゆっくりと眼をあける。
まだ頭が重い。
はっきりと焦点を結ばない眼で、美貴は辺りを見回した。