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牝獣の哭く夜
第1章 恥辱のはじまり
 横柄な客先の理不尽なクレームに対処してきたことは、それこそ無数にある。
 こちらに落ち度がなくても頭を下げ、はらわたが煮えくり返りそうな時でも、魅力的な笑顔で相手を説得してきた。

 そんな修羅場に比べれば、ここで屈辱の言葉を口にするぐらい何でもない。

 美貴は吊り上りぎみの明眸を、まっすぐ部下の不細工な顔に向けた。

「わかりました。ご奉仕させていただきます」

「早くそう言えばいいのに」

 毅然とした女の視線に、沼田はとまどい気味に瞬きした。

 が、すぐにニヤついて、

「じゃあ、お願いするか。まず課長の口でパンツを脱がせてくれ」

 股間を美人上司の顔の前に突き出した。

 ブリーフごしに、淫欲に反り返った肉の長さや、逆ハート型をした先っぽの醜相がはっきりとうかがえた。
 つっぱったグレーの布には、いやらしく黒い染みさえついているではないか。

 思わず眼をそらす。
 眉間に嫌悪の皺が刻まれた。

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