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滲む墨痕
第3章 雪泥鴻爪

塞がれた口内で呼吸するたびに、ぐり、と腰を突き出される。その灼熱を早く受け入れようと、無意識に脚がひらいていく。その意思を理解したように、藤田はわずかに背を丸め、潤の身体の中心にそれが当たるよう腰を入れた。
互いの色欲が布越しにこすれ合う。時折かすかに聞こえる湿った音は、すでにショーツまで染み出している愛液の仕業だ。彼のズボンを汚してしまう、と潤は一瞬思ったが、腰の下に入り込んできた手に力強く引き寄せられたとき、腹にぴたりと密着した鋭い感触に思考を奪われた。
「冷たっ……」
「え?」
唐突な訴えに目を丸くする藤田に、潤は「ごめんなさい」と小さく呟き、互いの腹の間に手を入れた。
「ベ、ベルトが……」
留め金が肌に押しつけられて冷たいのだ。
藤田がはっと俯いて腰を離し、「ごめん、気づかなくて」と言う。
「もうたまらなくて、つい……」
すまなそうに苦笑しながら正直に白状するその顔は、どうしようもなく愛おしさを湧き立たせる。

