この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
滲む墨痕
第3章 雪泥鴻爪

 それに気づいてとっさに目を閉じた直後、閉じなくてもよかったではないか、と昭俊は猛省した。それから目を開けるタイミングを失った。「先生」と呼びかける、迷いを含んだ小さな声に気づかないふりをした。狸寝入りだ。
 畳を歩く乾いた音が近くで止まり、その気配が目の前に下りてから長いこと待ったが、彼女は声をかけてこなかった。居眠りから無理やり起こすべきか逡巡しているのかと思った昭俊は、仕方なく自ら目覚めることにした。
 まぶたを上げるとすぐに目が合った。そこにあったのは、ひどく動揺して恥じらう女の表情だった。昭俊はそこで初めて、彼女に観察されていたのだと知った。

 そんなことを思い起こしながら、紙から上げていた穂先をふたたび沈め書き進める。しかし集中力を欠いた状態の線質はどうやっても緩んでおり、とうてい見れるものではなくなっていた。

/335ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ