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逆転満塁ホームラン!
第8章 グッバイオオサカ
「え?何?……挨拶とか?」
「今更挨拶なんか要らんわボケ。……松本とどうなっとんねん」
「どうって、どうもこうも無いけど。」
いやいや、松本さんとの進展は尚更この人に報告なんてする義務無いと思うけど。
不思議さと呆れ半分、みたいな表情で窓の外に目を向けると大阪とはまた違う景色が流れていて、私は本当に東京に来たんだ、と思ってしまう。
「連絡も取ってないん?」
「ラインはしてる。さっきも、無事に着いたか?って心配して送ってきてく「……はあ?」
バチッと右腕をチワワに叩かれた私。要らない事言うんじゃねえよ、と訴えていそうな瞳は、どこか焦りも含んでそうだ。
「……っ、お前松本とラインしてんのか?」
「だから、してるって。何が悪いん?別に世間話しかしてないけど…。」
全く何が悪いのか分からない。
松本さんはウィングスの事なんて聞いてこないし、もっと言うと試合の結果関係なくいつも明るい優しい人だ。
柳君が、ニヤッとした顔で華麗にハンドルを捌いているこの車内は、どこかさっきとは違う雰囲気。
「お前、じゃあ今さっきスマホ触ってたんって松本と連絡取ってたんけ?」
「そうやで。」
「んで、そんな悪びれもなくオレにそれを話してるってか?」
「悪びれもなくって人聞き悪いな。別に私、何も悪い事してないやん。何ならトーク履歴見せたろうか?」
「ウィングスの話なんかいっっさいしてないけど?」
ちょっと待ってな、とスマホの充電をもう一度つけようとした時だった。