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逆転満塁ホームラン!
第8章 グッバイオオサカ
「うん、大マジ。私、今彼氏とか要らないし。第一、どんなに欲しくてもそんっっな餓鬼クサイ表現しか出来ない天草は選ばんな。だから余裕やわ」
そうそう、私が言っちゃイケナイ事を言って彼の心臓をエグッたならまだしも、松本さんと仲良しって事は私が彼の話しをしても良いはずだ。
勝手に嫉妬して、勝手にキレて。
本当に人騒がせだし馬鹿らしい。
「じゃあウィングスのスタッフとして頑張る?」
「んー、それはWWCがどう言うかやん?初日で行方不明になる様な女アカン!言われたら大阪帰るし。」
「何も言われないなら、せっかく東京まで来たんやから頑張るし。別にウィングスというチーム自体は嫌いでも何でもないしさ。」
「……ぷはっ、いやあ、いいねえ!それでこそ吉瀬ちゃんじゃけん。素晴らしい!」
「もー、そんなに笑わんといてよ。」
「いやいや、本当素晴らしいよ。そんなハッキリと"天草なんてどーでもええ"って言える子、本当居ないよ?!」
「その上、仕事は仕事だって割り切ってるしさ。アイツが夢中に成る意味も分かるけん。」
「……まあ、それはしらんけどっ!」
「でも逃げてても何も始まらんから、とりあえず今からドーム行ってくる。」
「そうだね、それが良いと思う。とりあえず行かなきゃ何も分からんし、始まりもしんからね。」
「うん。」
「ありがとう、松本さん。」
「えー?」
「今度は、この御礼で私がビール奢ることにする!だから明日の横浜戦、頑張って。」
明日の予告先発欄には、松本さんの名前が書いてた事は知ってた。
ありがとう、頑張るよ。と優しく告げた彼の声を聞いてから電話を切る。
そうだよね──。
逃げてても何も始まらない。
番号札とボストンバッグを持って、私は入店して15分も経たない内に部屋を出た。