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逆転満塁ホームラン!
第9章 何気ない優しさ

男盛りの二人と入れ替わる様にして私の右側に座ったトマパンちゃん。左側には、彼女のお友達らしきこれまた可愛い子が座った。


「こんにちは、土間由佳です。」

「あ、存じてます。何ならいつもトクダネ見てました。卒業お疲れ様でした。」

「本当ですか?嬉しいです、有難うございます。」

細くて華奢な手は、ビール瓶を持っていた。


いや〜すみませんね、何てオッサンみたいに鼻の下を伸ばしながら注いでもらう。これは良いぞ。可愛いぞ。

「蒼井さんは、マネージャーさん業務は初めてですか?」


「はい。元々甲子園球場のスタッフやったんですよ。してたのもサンプリング配ったりグッズ売り場手伝ったりとかやったから、ウィングスとは無関係みたいなモンでしたよ。」

「へえ、それなのにいきなりマネージャーって凄い大出世ですね!」

チワワ先輩と同じ事を言う彼女の笑顔に少しだけ戸惑う。

これは……大出世なのかな?

いや、確かに阪神は今はもう弱いし昔ほどのバリバリ強い球団では無いけれど、それでも私にとったら応援している大事なチームである事は変わりない。

私にとっての出世って、ホント何を指すんだろう。


「どうですか?実際に皆さんと話してみて。」

と声を掛けてくれたのはトマパンちゃんと大学の同級生らしい夏菜子さん。JALの国際線CAだと云うのは納得のスタイルと顔立ちをしている。

「皆、何気に優しいですよ。不器用な子も居るけど見守ってくれてますし」

「そっかあ〜。ウィングスの皆さんって基本的にイケメンだし、それに加えて優しいって最高ですね!」

「イケメン?!そうかなあ。」

とチャラけた私を見て二人はキャハハと女の子らしく笑った。

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