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逆転満塁ホームラン!
第9章 何気ない優しさ
「素直になってたら良いけどなあ…」
と悩みながらキュウリのたたきを食べだした内海さんは、天草の性格をよく知っている。
だからこそ、こういう風にアイツが不器用な事をし出したら見守りながらも……つい口を挟みたくなるというか、心配で仕方ないというか、そんな表情や行動をしてしまうんだろう。
「成ってると思いますよ。俺も言いましたし。」
「あ、お前も言ったの?」
「お前もって事は内海さんもっすか?」
「おん、集合する30分位前にアイツに電話したんだよ。」
「とりあえず、ちゃんと謝った事は偉かったけど今日から吉瀬ちゃんは俺達全員のマネージャーなんだからな。って」
「今度お前の勝手な行動や気持ちの一方通行であの子の事泣かしたら、その時は俺も怒るぞって」
さすがだろ?とでも言いたそうな我らが内海さんの言葉を聞き終わったら、自然に笑いがこみ上げてきた。
それもそのはず、この人……オレと全く同じ事を言ってんだもん。
「ははっ、まじっすか?内海さん」
「まじだよ。ってかそんなに笑うことか?」
「いや、オレも実は──まっっったく同じ事を天草に言ったんすよね。お前の所有物じゃねえからなって」
「……マジ?何だよそれ。アイツ、26にもなって同じ事を二人から言われてるってか?」
今度は二人して笑う番だ。
「愛されてんなあ、吉瀬ちゃんも」
「……そうっすね、あの子は愛されてますね。」
オレ達にも、天草にも。