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逆転満塁ホームラン!
第9章 何気ない優しさ
「あたしの友達の彼氏なの、明菜って知ってる?」
「あっ……明菜ちゃん?!」
いや、知ってるどころかこの前の電話でも話題になりましたけど?!あの明菜ちゃんだよね?!
如何わしそうな目で私を見つめる由佳ちゃんの瞳の真意に気付いて、両手を顔の前で振り続けた。
「ちっ違うで!私と総司は何の関係も無いし……このラインの内容は……その幼馴染みたいなモンというか、妹みたいなモンというか……!」
「ははっ、分かってるよ。明菜も里奈ちゃんの話しは総司から少し聞いた事あるみたい。」
「え、そうなの?」
「うん。」
可愛い笑顔で、そう言われると何処か拍子抜けしてしまいそうだ。
アイツって大事なモノほど隠す性格だから……。何て言うんだろう、明菜ちゃんの深い部分を私にも話さないように、私の事もあんまり彼女には話していないと思ってたから余計に驚く。
「あ、そうなんや。じゃあ良かった……」
「もう十年近くの付き合いになるんでしょ?総司君と。……私も一度か二度は明菜含めてお会いした事あるけど、本当財閥の長男って感じの物腰柔らかい優しい人だよね」
「そ、そうかな?」
物腰柔らかい──?
アイツは、一体どんな顔をこの子達に見せているんだろう。私に対しては、やれオッサンだ…女子力の欠片もないだ…結構酷い奴なんだけどな。
「でも、優しいでしょ?」
「ああ、まあね。優しさはピカイチかも。」
「なんて言うんやろ…不器用で強引で自己中なんやけど心配性なんよね。過保護な部分もあるし。」
「昔ながらのお父さん気質みたいな感じなんかな?」
「へえ、そんな事有ったの?でもそれじゃあ里奈ちゃんも大変だね?」
「……分かってくれる?!ゆかちゃん!」
「そう、そうやねん!!」