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逆転満塁ホームラン!
第9章 何気ない優しさ
突如現れた私の心の理解者に嬉しくなってしまった。
でも流石にビールはお腹いっぱいだ、と言う事でダウンしているチワワ先輩が残していたカシスオレンジを手に持ってみる。
「甘ッ……って、そんな事はいいや。あのさあユカちゃん私、ほんまに嬉しいわ。」
「ええ、嬉しいって何でー?」
「だって皆な、総司の話しても『財閥長男やねんからいいやん』とか『優しいやん』しか言わへんねんで?!」
「でもさあ……やっぱり甲子園の事もそうやけど、勝手に仕事決めてきたり辞めさせたり、自分と同じ会社で働かせようと私の知らん所で手回したり……」
「昔だって、私がクラブで知り合った元ヤンの子と付き合ってたらその子の過去を引っ張り出してきて『お前は傷害で捕まりかけた男と付き合うんか?!』って二時間近く説教してくるねんで?」
「確かに心配やからっていうのも分かるけど、私だって知り合った時よりかは大人になってるし、放置しておいてほしいやん?そこら辺の事は。」
彼が、黙って頷くのは昔サッカーしてました〜みたいな好青年タイプの子か真面目な公務員の子か、のどちらかだった。
まあ、そういう子には本物のお兄さんみたいに飲めだの食べろだの言って可愛がってくれるからそこは良かったんだけど……。
何ていうんだろう、私は普通の女の子で学歴も家柄も普通そのものなのに彼の中では【令嬢】になってるのかもしれない。
そう思えるほどの過保護ぶりだった。