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逆転満塁ホームラン!
第9章 何気ない優しさ
「東京スライングタワーまで」
「スライングタワーですね。」
そうそう、WWCってケチじゃなかったの?と思った出来事がもう一つ。私が社宅として用意されたのは、東京の一等地にあるスライングタワーと云う、タワーマンションだったのだ。
最上階の角から二つ目の部屋は、勿論セキュリティーも万全だし部屋の中も広い。
管理人さん曰く、家具は前の方のご厚意でそのまま置いて行ってくれたらしく部屋の中には、わざわざ個人輸入したと思われる高そうなソファーやテーブルがそのまま置いてあったのだ。
「天草は?」
「はあ?さっき言うたやんけ」
「いや、住所やん。」
「……だから、さっき言うたやんけ」
「──?」
よほどアホな顔をしていたのかな。
彼の顔を見上げると、憎たらしい笑顔でぷっと吹き出してから又も前を向いてしまった天草。
「俺もスライングタワー、ちなみに3001」
3001……3001……3001?!
───ッ、はあ?!
「ええ?!あんた、私の隣?ってかあの角部屋ってアンタの部屋やったん?!」
自分でもキーンとする程のトーンだった。
うっさいねん!と叫ばれながらも、まだ動揺を隠せない。
勝手に調べた家賃を見る限り、場所を見る限り、そりゃあ芸能人の一人や二人は住んでるだろうと想像はしてたけど、まさか天草が住んでるなんて。
もっと言うなら部屋が隣なんて。
──そんな偶然って有り得る?
「う・そ・や・ん」
「何やねん、そのAIみたいな話し方。別にええやんけ、お前も土地勘無いやろうし俺みたいな東京人が側に居るのは心強いやろ?」
いやいや、あんたのイントネーションはバリバリの関西弁ですやん。というツッコミはバックミラー越しに目の合った運転手さんと同じ気持ちだった、ということだろう。