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逆転満塁ホームラン!
第10章 九月のゲーム差
「ん〜」
納得いってなさそうな顔で渡したアクエリアスを半分ほど一気に飲むと、今度こそ真っ直ぐに目を見つめられる。
「何よ。」
「相手は女の子?」
「そうやで。人生初めての西麻布やねん!」
ワクワクした気持ちを隠せなかった。少し語尾が上がりながら、そんな事を報告すると逢沢君が【お、大人じゃん】とニッコリしてくれる。
……でも、柳君だけが何処か疑いを隠せない感じ。
「二人で?」
「うん、そうやで。何で?」
「いやあ…。ただ女二人で麻布で飲むか?普通。この時間から。んなの、男に声掛けて下さいって言ってるようなモンだべ。」
「へっ、そうなん?」
「おん。大体、西麻布って言ったら宗右衛門町みたいなモンだからな。勿論、宗右衛門町よりは全体的に物価も高いけど、歩いてる男も女も金が大好きなイケイケ多いし」
「相手が指定したべ?」
「そうやけど……総司と同じ事言ってる。」
ふふ、と笑えてきた。
「まあそれはいいんだけど。誰と行く予定?」
「トマパン!」
「……ん〜、あの子別に悪い子じゃないかもしれないけど男に関して「大丈夫だろ、柳。」
話しに割り込んできたのはチワワ先輩だ。
広報と云えど、実際は第一マネージャーみたいなもん。こうやって事務所とルームを行き来して私達の様子を伺ってくれる。
「確かにあの子は男性関係が派手だ何だって言われてるけど、専属で見てる俺達ウィングスのスタッフには変な遊び方教えないと思うぞ。」
「……。」
「それで蒼井が可笑しくなったら、確実に自分のせいにされるのも分かってるだろうし。そこまでヘマはしないだろ。」
「まあ、チワワの言ってる事も一理あるけど。……吉瀬ちゃん俺達のこと呼んでくれとか言われても呼んだらダメだべ?」
「分かってるってー、さすがにあの子もアホちゃうから、ウィングスの事が目当てで私と仲良くしてたとしてもそんな分かりやすい事はしやんやろ。」
過保護気味な柳君の肩に手を乗せると、はあ。とため息をつきながらもう一度着替え初めた。