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逆転満塁ホームラン!
第11章 麻布女子になれないワタシ
そーんな事を思っていたら、トマパンが隣でコソコソとスマホを触ってるのが目に入る。
覗き見なんて趣味ではないけれど、相手の名前を見て……つい驚いて声が出そうになった。
見慣れたラインのトーク画面には【天草流】という知り尽くしたフルネームがある。
短文だけど何回か続いてそうなやり取りは、詳しくは分からなかったけれど──、相手が赤色やピンク色の絵文字を使ってるのは見える。
私にチラ見されてると気付いていない彼女は、鬼のように早いタイピングで、いかにも女の子らしい文章を送っていた。
【そうなんですか?いつも見てたけど気付かなかったです。
今はお友達と飲んでて天草さんが来れそうな場面じゃないんですけど……もし別の日でも会ってくれるなら、その時に二人でご飯に行きませんか?】
【わざわざ誘ってくれたのにすみません。】
「……ッ。」
胸がキリキリと傷んだ。
あの文章を見る限り、きっと天草がトマパンの事を誘ったのだろう。でも何故?今日はナイン組でご飯のはずだ。
柳君からメッセージは来ていない。…となれば、向こうが話しを合わせたのではなくて、天草が独断でトマパンにお誘いのラインを入れた事になるだろう。
「なにそれっ」
「え?何か言った?里奈ちゃん」
「あっ、ううん!」
……私の事がスキだったんじゃないの?
あんだけ顔を真っ赤にして、頼ってこいだの何だの言ってたあの言葉はウソだったのだろうか?──それとも、追いかけるほどの女じゃなかったって事なのかな。
ウィングスのメンバーは勿論、他球団の選手達も『天草は吉瀬ちゃんにゾッコンだらかなー』なんて言ってる。
だから……私もそう思ってた。
でも、実際は違うんじゃん。
確かに私達は付き合ってもいないし、私は彼の事が男としてスキなワケではない。