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逆転満塁ホームラン!
第11章 麻布女子になれないワタシ
部屋までの廊下──決して中を除く事は出来ないけれど、各部屋から楽しそうな笑い声が沢山聞こえている。
きっと私達の三つ前の、この部屋は人狼ゲームをしているんだろうなあ。女の子達の会話で察せた。
「里奈ちゃんさ」
「はい?」
「可愛いのに勿体ないって言われない?」
「勿体ない、ですか?」
「うん。例えば女の子らしさに欠けるとかさ。まあ俺はそれが素って感じで良いなあと思うんだけどね、ははっ」
「でも、由佳が飲む人達は割と"港区女子っぽい子がスキな人達"が多いから気使ったり、色々と大変になると思うよ。ましてやウィングスのマネージャーなんていったら、チケット取ってって頼まれたりさ。」
あたかも知った様な口ぶりで、私の苦労に寄り添おうとするフリをしてる彼だけど……私は貴方にも気を使ってますから!
何なら、そんな事言われる前から気付いていたしランチではなく夜に彼女と会うのは今日が最初で最後だ。と来た時から決めていた。
「大変だと思うよ。だからあんまり彼女とは……」
私の歩幅に合わせてくれてるシャチョーさん。
近いはずなのに──彼の声がイキナリ遠くなる。と同時に頭もフラフラしてきて関節に力が入らなくなった。
バタッと廊下に倒れ込む私を心配して……きっと、身体を揺すってくれてるんだろうけど、それすらも曖昧。
【そんなに酔ってなかったのにな。】
【もしかして……してやられた、ってやつ?】
どこか冷静に、自分の状況を思い出しながら有るだけのピースでパズルを完成させようと躍起になっている私の意識が完全に遠のいたのは、ほんの数秒後だっただろう。