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逆転満塁ホームラン!
第2章 甲子園球場の奇跡
「誰から聞いたんすか?確かに俺はここの飯好きっすけど、そんなワガママ言うタイプじゃねえし」
「はあ?チワワが言ってたぞ。」
「……ああ!それ、あれでしょ。俺とアイツを勘違いしてるだけですよ、天草。」
「天草か!あいつなら確かに言い兼ね無ぇな。」
「でも普段、あいつ球場のケータリングなんかであんまり飯食わねえのに。」
「っだよなあ?!俺もそう思ったわ。」
話の合間に、私にエビピラフとサラダを注文した柳くん。
近くで見ると……やっぱり格好良い。
二重幅が大きくて、鼻は少し鷲鼻。程よく焼けた肌と茶髪の髪は外国人とのハーフの様だ。
どちらかと言うとサッカー顔だよなあ、と思ったりもする。
「ま、あいつは俺も負ける位のワガママ大魔王だから。今日は球団のケータリング食いたかったんすかね」
「かな?それで凡退だったら笑うけどな」
「向こうの先発はカターシャらしいし、最近あの人コントロール悪いからそれは無いでしょ。」
カターシャかあ。確かにノーコンとヤジられてる外国人ピッチャーだ。
全盛期は三年ほど前だろう。あの時は……どのチームも攻略に顔をしかめていたし、現に沢村賞を柳と争ったほどの実力なのだ。
怪我もしていないのに、いきなりノーコンと言われ出したのは本人にヤル気がないからなのだろうか。
「狙うとしたら低目のインコースだな」
「でしょうね。天草が得意なのはインコースだし、多分初っ端からイク気がしますけど、俺は。」
ニタニタと笑っている彼と天草は、幼稚園からの幼馴染らしい。
家も近くて、小さい頃は自転車でよく遊びに行っていたとか、そんな話をシーズンオフのバラエティなどでよく話している。
そんな相手と高校の夏の甲子園決勝で戦って……そして、同じ球団で共に仲間として戦うなんて。
ましてや二人とも大イケメンなんて。
ああ、本当にこういう世界は何が起こるのか誰も予想すら出来ないよな。
誰が二人揃ってプロに入ると予想していたのだろう?