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逆転満塁ホームラン!
第12章 半端ない週刊誌
わんわんと子どものように声を上げて泣いていた私を笑わせてくれたのはマルコだった。
『そんなクライしたら、ゴッドがサッドになるよ?』
というルー大島でも言わない様なキザな台詞をすきっ歯を見せながら笑顔で言われて、挙句の果てにお姫様抱っこまでされたら嫌でも笑顔になってしまう。
……天草は『マルコ!お前、俺からコイツのこと取るんちゃうぞ!!』なんてキャンキャン威嚇していたけど、それすらも何故か平和な日常の一つに思えて微笑ましかった。
もう三時に差し掛かろうとしているのに、これからどうなるか分からない【案外重い案件】が気に成るのか誰一人として帰ろうとしない仲間達。
……先に口を開いたのは、やっぱりおバカに見えて物事を俯瞰して見れる内海さんだった。
「なあ、チワワ。コイツ達二人はどうなるんだよ?」
「……。」
「吉瀬ちゃんが暴行未遂で被害届を出すにしても、そうなればアイツ達は小金も有れば知識も有るし、天草と柳にボコボコにイカれたって事で絶対に傷害事件にしようとしてくるぞ?」
「示談金払って収まればいいけど週刊誌なんかに売られたら、内容が内容でも…世論は色々動くだろうし。」
「そうなれば、コイツ達は嫌でも謹慎処分くらいはフロントも指示するだろ。広島の背中見えてきて、なおかつ試合数も後少しだって所でコイツ達二人が抜けたら…」
その後は、彼なりのプライドと後輩への優しさだろう。言葉を紡がなかったけれど、皆意味を理解してるはずだ。
確かに──もし、二人が抜けたとなればカナリ難しい立場に立たされるウィングス。
内海さんのコントロールは抜群だけど先発に穴が空くのは痛いし、藤堂くんや逢沢くんもよく打つけれど天草には到底敵わないのが現実だ。
それをどうにかするのがチームプレーの鏡である野球ってスポーツだろ!と言われそうだけど、そこまで甘くないんだよね。