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逆転満塁ホームラン!
第12章 半端ない週刊誌
「確かにね、全体で見ると私は悪くないかもしれない。でも部分部分で見ると悪かったところもあるんよ?」
「ウィングスのスタッフやのに、危機感も何もなしであんな場所に参加して、知らん人から貰った薬を飲んだ。それだけで私にも落ち度が有るのは目に見えてるやん。」
「……でもッ!」
「でも、じゃないねん。松本さん、これが大人の世界なんやと思う。だって、青山先生の秘書してる時にこんな事に巻き込まれてたら速攻クビやで?」
面白可笑しく言ってみた。
そーだ、そーだ。もし青山先生の元で働いてる時に、こんな写真なんか挙げられてたら【自主退職】という名のクビになってる事は間違いない。
そう思うとウィングスもイメージ商売なハズなのに、昨日直ぐに私のクビを切らなかったのは……何て言うんだろう、優しいのか慎重なのか。
そんな事を思っていると、突然鳴るインターホン。
スマホを持ったまま、モニターを確認すると──そこには隣だからと云って、それこそ危機感も何も無いのか伊達メガネも帽子も変装の"へ"の文字すらない天草が居た。
「ごめん、お客さん来たから切るね。心配してくれてありがとう!また何か決まったらちゃんと報告するから」
「……吉瀬ちゃん!!」
「ん?どーしたの?」
早く出ないとキレられるだろうな。ちょっと待って、という合図がてらドアを三回ノックしてから、広島のエースの声に耳を傾ける。
「もし…」
「もし、その大人の事情ってやつで吉瀬ちゃんがウィングスに居れなくなったら広島が拾うから。」
「広島が無理なら俺が拾うから。」
「それって……」
「個人マネージャーじゃけえ、俺の年俸が上がる事に吉瀬ちゃんの給料も上がるよ?案外、貧乏球団とか言われる広島の球団スタッフするより良いかもな?」
イタズラっ子のように笑いながらそんな事を言われると、私も朝から笑えてきた。
「ありがとうね、松本さん。」
「おん。──ファイト!」
ああ、本当に恵まれてるな、私って女は。こんなに凄い人達にこんなに心配されて愛されているなんて。
そう思いながら、再度お礼を言って電話を切った。