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逆転満塁ホームラン!
第12章 半端ない週刊誌
天草の愛車であるベントレーは超超超高級車。中古でも1000万を悠に超えるし、コイツのこの車の場合は最新型だから新品しかなければ、その値段も家が買える程のものだ。
何度も乗っているけど、やっぱり乗り心地は普通のセダンと全然違う。
だけど……ちょっと不似合いなのが一つ。
「ちょー、これバーベキューソース付けて」
と運転しながらチキンナゲットを渡してくるコイツのこの行動が示している。
「っ、はいどーぞ。ってか有り得へんやろ、こんな良い車にマクドの匂い充満させるなんて…」
「お前が何も食べてないとか言うからやろ。」
いやいや、確かに何も食べてないとは言ったけど、それなら普通は皆も待ってるだろうしコンビニに寄るとか色々有るだろう。
それなのにコイツは『お、マクドあるやん』とか言いながらドライブスルーに車を突っ込んだのだ。
アルバイトの高校生っぽいお姉さんが天草の顔を見てイチゴシェイクを落としてしまった為、もう一度作り直す事になり少しだけ時間は掛かってしまったんだけどね。
「あのお姉さんも吃驚してたやん、あんたがドライブスルーに出没するから。」
「そりゃオレも人間やねんからマクドくらい行くやろ」
「ってかあんたがマクド食べたかったんやろ?……ほら、はい。もうソース付けてるで。」
絶対そうに違いない。
幸せそうにチキンナゲットを頬張ってるコイツ自身がマクドの気分だったのだ。
私はどちらかと言うとファミリーマートのオニギリで充分だったんだけど。
「細かい事ばっかり気付くねんな?そりゃお前彼氏なんか出来へんわ。」
「はいい?そんなアタシに振られたん誰やねん」
「オレ。」
「ははっ、そこは認めるんかい!」
朝から車内で広げられるのは、大阪同士しか出来ない漫才みたいな掛け合い。この瞬間は何気に私と天草って仲良しなんだよね。
やっぱり関西人同士、どのタイミングでボケるべきか・ツッコムべきか、何となく分かっているからだろう。