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逆転満塁ホームラン!
第13章 バタバタの一週間
「分からん。」
「はあ?」
「ただ……」
「うん。」
「別に依存症とかそういう訳じゃないけど、どーでも良い女を抱かなお前に当たりそうで嫌やねん。」
「へっ?」
「お前のことが好きで、大事にしたいが故ってこと。俺のそういう所をお前に見せて"ガツガツしてる"って思われるのも嫌やし」
「好きって気持ちがデカ過ぎるから…どっかで分散しやなお前に負担かかりそうやん。」
返ってきた言葉は生真面目で、でもどこか天草らしいぶっ飛んだ言葉だった。
「それって……!」
つまり、あれだよね。
訳の分からない女だったら無茶苦茶に抱けるし性欲処理として使える、と。
そうして自分の愛情や欲を分散しないと、全部を私にぶつけてしまって…そしてそれが仇となって傷付ける様になったら嫌だから…と。
筋が通ってる様で通っていない言い分に笑う余裕も無かった。
あの一件から、好きだとか大事だとか……そういうのを言葉や行動で示してくれることが増えたけど。でも電話越しでここまでストレートに言われたのは初めてだから、何故か戸惑っちゃう。
恋愛初心者じゃないのに。
「ッ、もうええやろ?切るで。」
「まっ待って!」
「チッ…何やねん?!」
スキな女に舌打ちする?!と喧嘩を売りそうになったのをグッと堪えて我慢した。
「ぶつけて良いから」
「はぁ?」
「あたし、頑張って受けとめるから他所の女にそんな勿体ない……ていうかあんたの欲とか愛とかあげやんといてよ」
──天草がキャバクラに居ると分かった時、呆れながらも胸が苦しくなったのは事実。
というか、チワワ先輩でも柳くんでも無く第一番に天草へ電話を掛けたって──ははっ、私こそ素直になれてないだけじゃん。
顔がみるみる内に赤くなっていくのが手に取る様に分かった私は天草の返事を聞くことなく、一方的に電話を切る。
そして、自分の中々積極的な言葉の意味をもう一度理解し直した時、いても経っても居られなくなって枕に顔を伏せた。