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逆転満塁ホームラン!
第13章 バタバタの一週間
このまま押し倒したら椅子事、私達は激しい音を立てて床に倒れることになるだろう。
流石にプロの野球選手の背中に固い地面は当てれない。
でも──近すぎる距離と、ほんの数センチ先に有る全てを見透かしたような瞳を前にして、平常心では居られなかった。
「その、どういうつもりとかそんなんは無くて…何ていうか…」
「何ていうか?」
「──っ、もう良くない?!」
「何も良くない。これで俺が明日の広島戦、特大アーチ打つか打たんか決まるねん。」
「……。」
意を決したように、目の前の性格の悪い男の両頬をつねった。
そしてチュッと……まるで子どもが母親にする様な慈しみに溢れたキスをする。
これが今の私に出来る──
素直じゃない私に出来る──最大限の自分の気持ちを表現したものだと思う。
「……へえ、度胸あるやん。お前のあの言葉と今のキス。全部計算したらここで襲ってええってことになるんやけど?」
「なッ、最低!もう出てって!!」
「ははっ、ウソやんけ。俺は順番を守る男やし、『エッチの後に愛がある』なんて言葉は存在せえへんと思っとるからな。」
よく言うよ。
どこの誰だったっけ?クラブ・リリーで女の子二人とミサトちゃんの前で乱交しておいて、挙句の果てにあんな切り方をしたのは。
苦笑いでいっぱいの私を自分の膝の上から落とすと、備え付けのもうひとつのガウンに着替えだした天草。