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逆転満塁ホームラン!
第13章 バタバタの一週間
席に戻って来てから、今年1番のハイペースでシャンパン空けるわ、酒を飲むわ……絶対に何かアクションは有ったと思ったんだけどな。
ヤケ酒、っていう感じじゃなくて喜び酒そのものだったから余計に、だ。
「手も出してないべ?」
「当たり前やろ。」
「当たり前って……順番守る行為すら嫌ってたお前の口からそんな言葉が出るなんて信じられねえべ。中学の時から本気で付き合った事も女を好きになった事も無かったお前が……なあ。」
俺と天草は桜花中学校でのイケイケコンビで知られてた。二人とも顔はピカイチ格好良かったし、野球も上手かったし女には困ってなかったんだ。
それでも俺は人並み位は女に本気で惚れてきたし、何人かとは真面目に付き合いもしてきた。
問題はコイツ、天草流。
寄ってくる女のことを性欲処理としか見ていなかったのは確実だし、事有る事に『女の考えてる事なんて理解したくもないわ。順番守れだ、彼女にしてだ……お前ら我にどんだけの価値有ると思ってん?って話しやし』って言い続けてたこの男が──あの、吉瀬ちゃんにベタ惚れなんてな。
「でもタイプで言うとお前は、リリーのミサトみたいな子が好きだろ?」
「ミサト……ああ、アイツか。まあな」
「だよなあ。」
「俺のタイプは身長が高くてスレンダーで、目鼻立ちのハッキリした猫みたいな顔のやつ。」
そうそう、それだ。
それこそがピッタリ、ミサトに当てはまってた。
現に、吉瀬ちゃんが球団スタッフとして俺達の側に来る前までは甲子園や京セラでの試合の時は必ずリリーに寄ってたし、何ならバーキンかケリーバッグもプレゼントしてたと思う。