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逆転満塁ホームラン!
第14章 リーグ優勝を掴め!
『さあ、阪神の岩田が…投げました!おーっと、これはファウルボールですね。』
『フルカウントですね。』
『はい、そうなります。逢沢はアウトコースのストレートが得意ですが…岩田は何を投げるのでしょうか。』
普段からポーカーフェイスの逢沢くんは、今も何を考えてるのか全く想像も出来ないほどの真顔でピッチャーを見つめている。
普通ならワンアウトくらい…と思うかもしれないけれど、今の時点でウィングスと阪神は5点差なのだ。
そりゃあ、たかがアウトでありされどアウトでもある。
『岩田が投げまし……おーー!!逢沢!!見事です!!!』
『ショートを抜けて逢沢回ります!!!さあ、ツーベースヒットになるのかどうか……!!』
『セーフです!!セーフになりました!!』
大興奮のアナウンサーは確か元々NHKのスポーツ部に居た白井さんだったかな。
チワワ先輩も格好付けだし、私も格好付けだから二人して澄ました顔をしながらハイタッチをしてみた。
『逢沢が俊足を生かして二塁まで走り…お見事です、四回の裏、苦しんでいたウィングスにノーアウト二塁のチャンスが生まれました!』
『いやあ、あれはヒヤヒヤしましたね。てっきり一塁コーチが止めるかと思ったけど……。』
『いやいやいや、村田さん。これがウィングスの野球ですよ、適材適所と言いますか…選手を信じて強気に行く、というね。』
白井さんが熱烈に語っているのを元巨人OBの村田さんが、相槌をうって話を聞いている。
というか白井さんは多分、ウィングスのファンなんだろう。ウィングスが強気な試合展開を好む事は、試合をよく見ているファンしか知りえない事だ。