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逆転満塁ホームラン!
第3章 不吉な予感
「でも青ちゃんも変わってるよな。」
マスターも一杯のんで、という声掛けをしたのは30分以上も前なのに、まだジョッキには半分程度ビールが残ってる。
言われてみれば、確かにマスター……小堺さんってお酒が強いイメージないかも。いつも素面なのにテンションが高いっていうか、何というか。
「何で?」
「いやあ、たださあ……」
「うんうん。」
変わってる、と言われる事には慣れてる。
だから何とも思わないけど、行きつけの焼肉屋のマスターに面と向かって言われればそりゃあ理由を聞きたくもなるよね。
「総司君っていう凄い人が近くに居るのに、全く興味無いみたいやし──総司君に頼らんやん」
「俺なら、前の仕事の件含め頼み込んで住友系列の会社で働ける様にしてもらうなって思って。」
「ああ、そういうこと。」
「そう。新地で店出してもう十年になるからさ、色々な凄い人達も見てきたけどやっぱりあの三大財閥の直参の長男なんて、初めてなワケやんか……」
「あの若さであの顔であの優しさ。」
「俺なら絶対に意識してまうのに青ちゃんは全く意識してなければ、頼ってもない。そりゃあ総司君に可愛い可愛いされる意味分かるわって、ふと思った。」
「まあ……確かに総司はあたしに甘いわな。」
「いやあ、ホンマにそれよ。」
「総司君も確かにホステスさん連れてアフターや同伴でこの店利用してくれるからさ、俺も彼の違う面も何度もみた事あるけど──ホンマに、全然違うもんな」
何かを思い出したんだろう、クスッと笑っていた。
「違うって?」
「なんて言うんやろ……この前、ウィングスのナイン組の話してたやん?あそこまではいかんけど、あれと同じ匂いな感じ。」
「はあっ、なにそれ?!」
「潰させたり、暴言吐いたり、そんな事はしないし流石に彼は自分の苗字を気にした上で行動してるけど……」
「女を人間として見てない、みたいな」