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逆転満塁ホームラン!
第18章 夢の高級ホテル

「オトンが俺の野球のセンスに惚れてドラフト指名してくれたんか…」

「それとも父性ってやつでドラフト指名してくれたんか……」


「それが分からん限り、結果が出ない限りは何も言わないでおこう。って家族で話し合って決めてた。」


「でも、勿論俺だけのチカラじゃないけどリーグ優勝も日本一も取れて──個人的に賞も貰い出した今なら公表しても大丈夫かな。って判断で、この場を借りて発表させてもらう事になりました。」


「………。」


だからか!

ボーッと天草の両親を見つめながら、そんな事を思うと段々と話が繋がってくる。

天草ママがお金持ちなのは当たり前だし、ポルシェであの人の事を送り迎えしてたのも当たり前だ。

そして──リーグ優勝がかかった阪神戦の時に、何度かスクリーンに映し出されたあの二人。

あの時に綺麗だな、と思っていた人こそが天草のママだった。

それなら私がどこかで見た事有るな、と思って当たり前だし、あの時の千里さんの笑い方を『天草と似てるな』と思っても可笑しくはない。

だって、あの二人は息子の晴れ舞台を見に来ていた夫婦なんだし、天草はそんな凄い人達の一人息子なんだもん。


私に必死にアイコンタクトを送ってくる我が母親はきっと『あんた、どえらい玉の輿やで』と言いたいんだろう。

口をパクパクさせている私を見て、ははっと小さく笑った天草流なんて云うスゲー御曹司はもう一度マイクに向き直すと、今度は柳くんをまっすぐに見つめる。

「柳、全部知ってたのに黙ってくれてて……俺のチカラだけを見てくれてて……ホンマにありがとうな。」

「俺が恋愛下手で何も出来てなかった時に、隣に来て背中押してくれた事今でも覚えてる。」


「俺の為に一肌脱ぐつもりで日本シリーズもリーグ優勝決める阪神戦の時も必死に投げ続けてくれてたんやろ?」


「お前は──俺の最高の幼馴染でライバルやわ。ホンマに俺の側におってくれて、こんな俺と友達でおってくれて有難うな。」


あの時と同じ様な、不屈の二人の絆。

『おん。』とだけ返事をした柳君は私から見ても天草の隣に居なくては成らない人物だと思う。


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