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逆転満塁ホームラン!
第3章 不吉な予感
そんな事を思い出した。
どうやら酔ってるみたいだ。思い返すだけで私が頼んだビールは六杯、となれば実際は十杯近く飲んでるだろう。
もうそろそろだな、と大人の理性とやらでお会計マークを作ると小堺さんが左手を挙げてちょっと待て、という合図をする。
どうやら電話をしているみたいだった。
──総司、か。
私はあいつの事を鈍感だと思っていたけれど、もしかしたら私が思う以上にアイツは人の事を見ているのかも。
選球眼が有るとするならば、選女眼だって有るはずだ。
鈍感野郎!なんて言いながらも、そんな総司の本質に今の今まで気付いていなかった私の方が鈍感なのは間違いない。
意識もせずに苦笑いが私の顔に浮かんだ。
やっぱり子供扱いされてるのかな。だからこそ、彼は自分のそういう汚い姿や人間の本質に近い部分を私に隠そうとしているのかもしれない。
そうなれば、総司の親友を謳ってきた私にとってはどこか寂しくて心苦しい、んだよなあ。