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逆転満塁ホームラン!
第3章 不吉な予感
「ごめんごめん、青ちゃん。お会計やんな?もう帰るん?」
「うん、これ以上ここ居るのも悪いし、あたし明日も仕事やしさ。」
「でもナイターやろ?試合は」
「うん、そうやで。今日ボロ負けした分、阪神には明日ホンマに勝ってもらわんとアカンわ……。」
そうだ、忘れていたけれど今日は天草流の嫌味な態度と阪神の選手陣が起こした高校野球以下のエラーについての愚痴を言いにきたんだった。
まあ、言いたい事はほぼ言えたし今日の新地でのリッチご飯は私的にはコスパ最高だったと思う。
「あのさあ、青ちゃん。俺からの提案やねんけど」
「うん?」
中々、お会計を見せようとしてこないマスターを不思議に思って財布を閉じてから顔を上げる。
苦笑いというか……何て言うんだろう、心なしか気まずそうな感じがしてる。
「ここのお代金はもう良いから、良ければ俺の連れが飲んでる店に合流してあげてくれへんかな?」
「っ……へっ??」
「あのー、青ちゃんと何度か店で会った事があるお客さんやねんけどっていうか、俺の先輩やな。その人が青ちゃんが来てるなら、是非こっちに合流してほしいって言っててさ。」
「誰それ?ていうか何であたしがここに居ること知ってるん、その人。」
あたしが来た時に居たのは、製薬関連の仕事をしてそうなサラリーマン五人組と、年老いたおじいちゃんとホステスさんの二人組だけだった。
まさか、その人達ではないだろう。
いやっ、その人達ではないと言い切れる。
マスターが先輩だ、と言い直したと言うことは本当にただの店主とお客さんと云う関係ではないと言う事。
でも、おじいちゃんにしろあのサラリーマン達にしろ子堺さんの先輩だとは思えなかった。