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逆転満塁ホームラン!
第19章 独占欲は突然に



「すみません、遅れました!!」

選手達の洗い終わった乾燥済みのアンダーシャツを皆に手渡しながら一人一人お礼を言っていく。

皆優しいから「大丈夫だよー」とか素敵な言葉を掛けてくれるんだけど、その瞳に心配そうな部分が見えるのは私のせいだろうか?


「はい、これ天草の分な。」

と一人だけヤケに多い5枚のシャツを渡すと、素っ気なく……おまけに礼も無く、強引に引っ張り取られて思わず呆然とする。


今日は機嫌の悪い日なのかな?

そうなれば、私が側に居ればこの人はもっと機嫌悪くなるだろうし離れるのが最善の選択だろう。


気の強い私は何も言わずに彼の目を数秒だけ見つめると、助けを求めるかの様に何時も底抜けに明るい藤堂くんのロッカーに向かおうとくるりと振り返った時だった。

ギュッと半端じゃないチカラで腕を握られる。

「ッ、なっ何?」


座りながらスマホを触ってる彼は……ああ、荒野行動してたんだ。

「ちょっと待て。」

「え?……う、うん。」


あんまりゲームをしないから分からないけど、きっとセーブでもしてるのかな?軽くスマホを触ってからイヤホンを抜き取ると、まるで王様の様に足を開いて深く座った状態で私の事を見上げる。

少しだけ濡れている髪と、怒ってる顔がミスマッチなんだけど──でもイケメンだから絵になる。

何ていうんだろう、色っぽい。という言葉が似合うなあ、と嘘偽り無しに思った瞬間だった。

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