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逆転満塁ホームラン!
第3章 不吉な予感
「いやっ、でも青ちゃんにも仕事が有るからさ。勿論、無理にとは言わんねんけど……でも、まだ後何杯か飲み足りてないって言うなら、って話やねん」
必死なマスター。
おいおい、どういう状況だよこれ。と心の中で何度もツッコミを入れる。
「接待か何かなん?その場は」
「いや、違う。まあ同僚達と呑んでて……男二人組なんやけどさ。その内の一人に高校の時からホンマに可愛がってもらってて…。」
「へえ!って事はまだ若いんや。」
「うん、顔も格好良いし金払いも悪くないよ!」
「本当良い様に使うつもりで一杯だけでも相手してやってくれんかな?」
この通り、と頭を下げられたら……はあ、そりゃあ行ってあげるしかないよね。
だって店主から謝罪以外で頭を下げられる場面なんてフツーはないもん。ってことは、それだけその友達達がわたしの事を気に入ってくれてるって事だろう。
「……分かった。でも終電もあるから一時間位しか居られへんで。」
「マジかっ!いやあ、もう神様青様仏様!マジで言ってくれてる?!」
「うん。だってマスターもその人達も酒が入ってるとは云えマジな話をしてるんやろ?」
「そう。俺的にはもうそりゃ大真面目やわな。」
どこか真剣な瞳でそう言われたら、尚更女に二言なんて無いと証明するしかない。
頑なにお金を受け取らない小堺さんに気力を尽かした私は机の上に一万円札を置いてから、言われた通り隣のビルへ向かった。
まあ足りるだろう。飲んだとは云え、頼んだ量なんぞ所詮女が食べる量にしか過ぎない。