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逆転満塁ホームラン!
第20章 ネットカフェの魔法
『さあ、今日の試合は2対4で広島がウィングスに勝利しましたが、試合についてどう思われますか?』
『そうですね〜、広島は台風で流れたやつの再試合1日目ですからね。しかもマツダっていうパワー溢れるホームでの試合だし。そのパワーが勝ったんでしょう。』
『そうですね、ウィングスの二大巨砲と言われるマルコと天草もイマイチ結果が振るわず、おまけには先発出場した柳もピッチャーゴロをグラブで弾くっていうエラーをしましたし。』
『ついてない、と言えば簡単かもしれませんね。』
心ない言葉を生放送のネット中継で聞いていたけど、何か胸が悪くなってイヤホンを取った。おまけにバッテリーも切る。
確かに、これまで絶好調だったウィングスが天草の凡退と柳のエラーで負けちゃうなんて私の今日の出来事みたいだ。なんか、本当"ついてない"みたいな。
だけど選手の皆は割と気にしてなさそう。
広島を追いかけてる側なのは確かだけど、引きずらないのが彼達の良い所でプロにとって最も必要な要素ではあるからね。
いつもと変わらない具合で和気藹々としながらも、次はこうしよう・明日はこうくるハズだ、なんてコーチ抜きで会話しているこの空間はマネージャーとして嬉しくなる。
ベンチの空気が悪い球団ってのは、勿論フロントの空気も悪いだろうし。
それに比べて、本当にウィングスはフロントも熱心で選手たちも熱心だから言う事が無いんだよね。
今日のホテルがまだ取れてない事なんか、一切気にならなくなりそうだ。使い終わったタオルをベンチの上に固める様になってくれた事で私はいとも簡単に回収をかけれる。
お疲れ様〜と声をかけながらシャンプーの良い香りがするタオルを両手いっぱい使って持ち上げた。