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逆転満塁ホームラン!
第20章 ネットカフェの魔法
「お前もうホテル帰るん?」
「ん?あ、ああ。そうやね」
フェイスタオルでゴシゴシと髪の毛を拭きながら、色っぽい流れ目でそんな事を天草に聞かれて思わず足を止めた。
「柳達と飯行くけど行かんの?さすがに今日は二件目は無いと思うし、普段安い飯ばっかり食ってるんやからたまには人の金で贅沢したら?」
「………。」
はあ。
コイツは凡人じゃないんだろうな、多分。シャーロック・ホームズみたいなもんだろう。
悪気も無く人の神経を逆なでする様なことを言うし、素直ではないから可愛い言葉だけで終わる事が出来ないタイプの人間だ。プライドの高さがこんなに人格を歪ませるなんてコイツと出会うまで知らなかったもん。
「結構でーす。」
「……野茂とか松本と飲みに「はあ、何回言うたら分かるん?違うから!」
「一回しか言うてないやんけ」
「今日はな。でもマツダで試合有るとか広島が東都ドームくるとかなったら毎回言うてるやん?」
「挨拶じゃ、挨拶」
「要らん挨拶やわ。……てか、今日は広報から頼まれた仕事が有るからホンマに無理やねん。気持ちは嬉しいけど部屋こもって終わらせやなアカンし。」
「分かった。」
真面目なトーンで、結構上手にウソを付くと彼も信じてくれたのかいつもよりアッサリと引いてくれて助かる。
ふう、と誰にもバレない様にため息をついてからバックルームを後にした。